本屋大賞のノミネート作品
あらすじ
日本で生まれて満州にやってきた珠子と茉莉。
朝鮮で生まれて満州にやってきた美子。
3人は第二次世界大戦中の満州で出会う。一緒に長い遠足に出るなどして仲良くなっていた3人だったが、終戦を迎えて満州が日本の領土でなくなると3人の運命はバラバラになる。
在日朝鮮人として生きていく美子、
横浜で空襲に遭う茉莉、
満州から逃げ出そうとしたところで連れ去られる珠子
3人はそれぞれの立場で必死に生きていこうとするという話
1つ目は戦争中と戦後における日本人の境遇
歴史的な出来事として満州が日本であったことは知っていても実際にそこに住んでいた人がいたっていうことを考えたことがなかったので考えさせられた
そして戦争中までは日本が中国よりも強くて威張っている雰囲気があったのに
戦争が終わったら日本人は中国人にどれだけ酷いことをされても何一つ抗えない状態になっていて
やっぱり戦争ってロクなもんじゃねえなって思いますね
2つ目は3人が辿った人生の違い
もともと朝鮮で生まれた美子が日本人のように生きていて
戦争が終わっても国に帰ることが出来なくて在日朝鮮人として暮らすしかなくて
もともと日本人だった珠子が中国で育つことになったことで色々なことを忘れてしまって中国人として生きていくしかなくて
横浜に戻った茉莉は日本人としては生きているけど孤児になるしかなくて
という三者三様の壮絶な人生でも
それぞれが必死で生きている様がとても良い
3つ目は3人の人生の終盤
この話は3人が亡くなるくらいまでの何十年もの話を書いていて
それぞれの人生の苦しさが痛いほど伝わってくるんですけど
最後には感動的だし、とても温かい
久しぶりに本読んでちゃんと泣いたわ
固有名詞が多くて、その固有名詞が容赦なく消えていく様子はとても辛かったけど
良かった
とにかく良かった
心に残る作品だった