すばる文学賞受賞作
あらすじ
ベルギーの村に住んでいたアダン氏の目の前で突然妻がフラミンゴになってしまった。アダン氏はそのことを家族以外にバレないようにしていたが、教会で子どもたちの諍いをきっかけに妻だけでなく村のほとんどの女性がフラミンゴに変化していることを知る。村人たちはみんなで協力してフラミンゴを保護しながら、村の外の人たちにフラミンゴの存在をバレないようにするが…という話
この小説は帯にも
妻がフラミンゴに!?
っていうキャッチーなフレーズが書かれていて
ふざけた感じの小説だと思ってたから途中の展開から戸惑ってしまった
このぶっ飛んだ設定でこの空気感ってあんまり読んだことなくてとても良かったな
では具体的に面白かったところを2つほど紹介
まず1つ目は
ところどころ挿入されるミステリー要素
これが物語全体の空気を不穏なものにしてる要因だと思うんですね
フラミンゴの数がフラミンゴ化してはずの人数より少ないっていうのがまず怖いのに
フラミンゴが少ないことを指摘したパドゥ氏の話とか怖すぎ
人の裏の顔みたいなのが間接的に書かれると直接的に書かれるときよりもより怖くなるんだな
ヴィクス助祭をめぐる事件はより恐怖しかない
似通った思考回路を持つ人たちが集団となった時の冷静な判断より先に衝動的な行動が発現してしまう感じが惜しみなく表現されてますね
2つ目は
人を愛し続ける難しさ
アダン氏たちはフラミンゴを擁護していられないブーシェたちと対立するんですけど
これが人を愛し続ける難しさを表してますね
人は見た目じゃないって言っても見た目込みでしか基本的には接することができないし
人ですらなくなる変容に
愛していた存在の定義が揺らいで
愛し続けられなくなるのはわからなくはないな
って思うよな
しかも自分たちがそれによって普段では考えられないようなことをしたとなると
罪悪感で耐えられなくなるのかな
正直それが結構大きいよなって
この場合どちらが正しいか難しいもんな
うーん
表紙からこんなに考えさせられたり、感情を揺さぶられたり小説だと思わなかった
読んで良かった