川上未映子さんの最初の作品
あらすじ
自分の自分率が1番高いのは奥歯。そう考える主人公は歯医者でアルバイトを始める。主人公は歯医者でいじめられたり、まだ見ぬ我が子に手紙を書いたり、付き合っている青木に電話をしたりして過ごしていく。青木は仕事が忙しいということでなかなか会えなくなり、青木に歯医者での治療を勧めるが…という話
面白いところを3つほど
1つ目はまだ見ぬ我が子への手紙
主人公は子どもを産むことをそれほど積極的にしたいとは思っていないからこそ
不確定的な存在に対して色々と自由に投げかけていて
その行為で主人公は安定性を保っているところもあってっていうバランスがとても好き
2つ目は雪国の冒頭の一文についての考察
雪国の最初の一文には主語がない
主語がないという観点で物事を見ることができる青木に惹かれる主人公が青木に対する心情を変えていく様子がちょっと辛いけどめちゃくちゃ共感できる
主語がないことを良いことと捉えるのもわかる気がするし
やっぱこういう考え方ができるところが好きだなぁって思います
3つ目は歯についての考え方
奥歯が自分の本体っていう考え方が面白い
臓器とかだと自分の内側にしかない存在だけど
奥歯っていう基本的には人目につかない場所にあるけど時々外側に開かれるところにあるものだからそれが自分の本体ってめちゃくちゃ面白い考え方だなって
そして奥歯を互いに見せ合うことで許し合うことにしようっていうのが
あんまり見られない自分の本体を意図的に見せ合うことがお互いを認め合うような意味につながるっていうのは良いなぁって思う
やっぱり面白いんだけど
川上未映子さんの作品は個人的にめちゃくちゃ好きっていう感情が強まる
全部読みたい