野間文芸新人賞受賞作
あらすじ
既婚者である歯医者の先生に恋をする女子高生の美緒。美緒は歯の矯正をするために歯医者に通うたびに先生と関係を持とうとする。ある日、先生の船で出かけたときに美緒は先生と肉体関係を持とうとするが、母親の言葉や父親のことを思い出して…という話
赤坂真理さんの作品は初めて読んで
読みやすいか読みにくいかでいうとだいぶ読みにくい
時系列が入り組んでいるのと言葉遣いにクセがある?ので難しめではありますね
面白かった点を3つほど
1つ目は美緒の家庭環境について
話を通して美緒の家が直接的に描かれるわけではないから具体的にどんな関係性かっていうのは見えてきにくいんですけど
母からは強制されていることがたくさんあって父とはあまり話をすることができない状況っていうのはわかって
そのストレスの捌け口が先生との関係に向いているというのがわかりますね
2つ目は歯の矯正という中心軸について
歯の矯正という期限つきの出来事を通して先生と会っているっていうのが
先生との関係性が儚いもので非日常なものであることが示唆されているみたいで良い
さらに矯正という正すことを意味するものが母の反抗に繋がっているのも良い
3つ目は描写の仕方
性描写というか先生との描写がいちいちめちゃくちゃ艶めかしい
こんなに艶かしい描写をあんまり読んだことないなって気がしますね
女性目線の繊細な描き方をしているからなのか理由はよくわからないですけどちょっと新鮮な感じがしましたね
赤坂真理さんの描く性描写は好きですね
難しかったけど描きたいことが高尚な気がして
ゆっくり味わえるような作品でしたね
他の作品も読んでみたいですね