『コンビニ人間』の作者である村田沙耶香さんの短編集で、設定がヤバいっていうのを知って読んだ
この本は最近読んだ本の中で1番心に響きましたね
しみじみと来るのもがありまして
設定がヤバいっていうのは、人を食べたり、人を家具にしたり、人をペットにしたり、人を臓器として見ていたりとかとか
まあヤバいんですけど
でもそれを通してのメッセージはとても温かいような気がしましたね
短編集なんで好きな話を挙げると
表題作の『生命式』と『素敵な素材』、『孵化』かな
もちろんどれも面白いんですけど
それぞれの話は以下のような感じ
まず『生命式』について
話は、人が亡くなった後に火葬をするのではなく生命式を開いて死者の肉を食べることが一般化した世界。生命式では新しい命を生み出すために受精を積極的にすることが求められている。主人公は人の肉を食べることに多少抵抗がある。そんななか仲の良い同僚が亡くなって…というような話
次に『素敵な素材』について
話は、人の肉や骨や皮などを家具などの道具として利用することが一般化した世界。そこでは他の動物の素材より上質で高級な素材として人が扱われている。主人公は周りの友人とともに人の素材を利用することに憧れをもつが、婚約者は人の素材を嫌っている。そのため婚約者は変な人だと言われる。そして結婚式のドレスを決めるときに婚約者の母から亡くなった父親の皮を受け取って…という話
最後に『孵化』について
話は、小中・高校・大学・バイト先などで違う自分を演じ分けてきた主人公が結婚式のときにどの自分で行けばいいのかわからなくなって…という話
で、『生命式』と『素敵な素材』に関してなんですけど
最初気を衒ってる感が強くて、何だこれと思いながら笑いながら読んでいたんですけど
どちらも大半の人は普通だと思って過ごしてるけど、その世界の常識に違和感をもってる人も出てきて
で、その違和感をもつ人が変な人扱いされてるのが今の世界と同じなのかなと思って
周りが当たり前にしてること、できることに違和感があって、拒絶してしまってコミュニティに適応できないことが多くあった身からしたら考えさせられることもあって
正常は発狂の一種だ、っていう言葉が出てくるんですけど、この言葉にも少し助けられる気持ちになって
なんか心が救われるような気持ちにさせていただきましたね
『孵化』については、あるあるだと思うんですよ
この話の場合は意図的にキャラを演じ分けてるんですけどそうじゃなくても
嘘をついてるわけじゃないけどそこで求められる人物像に寄ってしまうっていうのが
自分自身はそのままのつもりなのに
周りからの評価が違うせいでらしくないみたいな空気出されるときあるよなーって
それで裏表あるとか二重人格とか言われることあるよなーって
こっちは年中無休でずっとボケたいんだって
まあ個人的な話は置いといて
これ結構気になることで
周りがどれくらい場所に応じてキャラを意図的に変えているのかっていう話
結構使い分けてる人が多いんですかね
でも表面的なものですよね
ちゃんと見たら芯がどういう人かってなんとなくわかるか