アニメ映画化もされたSF作品
あらすじ
大災禍を経験した人類が医療を発達させた世界。そこでは身体の中にWatchMeという健康管理システムをインストールすることが義務付けられていた。世界に干渉されることに嫌悪感を抱いた御冷ミァハと霧慧トァンと零下堂キアンの3人は自分たちの身体が公共のものになる前に死のうとする…
数年後、霧慧トァンが零下堂キアンに会っている時、霧慧トァンの目の前で零下堂キアンは首を切って死ぬ。そして謎の団体から人を殺さないと自殺する仕組みを作ったという旨の声明が出されて…という話
SF作品をほぼ読まないんですけど
本作はめちゃくちゃ面白かった
伊藤計劃さんは若くして亡くなっていて残っている作品が少ししかないんですけど
その事実が悔やまれると、だいぶ時間差をもって感じましたね
たぶん全部作品は買ってるから順番に読もうかなって思いますね
では、面白かったところを3つほど
1つ目は報酬系の制御と意識の話
人は痛みを選択していたり、他の負の感情なども選択していて
それは報酬系の仕組みで説明される
ということは、究極の健康管理をしてしまったら人は無意識になるっていう理論が
おそらく事実だろうし、その説明がはっきりされているのが恐ろしかった
SF作品で科学的なことがこれだけ論理的に述べられているものを初めて読んだので、衝撃的だったし勉強になった
少しは報酬系のことを知っているからより楽しめたし、無意識になる感覚っていうのがなんとなくはわかる気がするからより恐ろしく感じましたね
これが書けるが凄いとしかいえない
2つ目は身体の公共性についての話
健康管理のシステムの究極が人からプライベートを奪うことだというのもとても納得で
それに対する嫌悪感もわかる
インターネットが普及した世界でそのインターネット上に載せられる情報を制御できる仕組みが整えられると人々はコントロールされることになるし
それを健康にまで発展させられるとそうなるよな、確かにな、ってとにかく勉強になると思った
ファンタジーの世界ではあるから自分がこの世界にいたらミァハの気持ちはめちゃくちゃわかるだろうなって思いますね
純粋に感心しかないから感想が難しい
3つ目は書き方
伊藤計劃さんの遊び心だと思うんですけど
本作はたぶんHTMLの書き方で書かれていて
プログラミングっぽく構成されているのが
徹底して未来を思わせる仕掛けをするのが凄い
本書は設定的にはその時代に存在するファイルとして書かれたものって言うイメージなのかなって思わせてくれるようなエンターテイメント性が溢れていて
読者をとても意識して書かれたんだなっていうのが伝わってくる
いやーめちゃくちゃ面白かった
SF作品って学生に近い今くらいに読むのが1番楽しめる気がするからちょっと短めのスパンで読んでいこうかな