芥川賞受賞作
話は、
順さんというおばあさんが個人的な趣味でやっている首里の歴史を納めた資料館に通う未名子がどうにか資料を保存しようとする日々を送るなか、ある日庭に一頭の宮古馬がやってきて…という話
あらすじ読んだら沖縄の資料館がどうこうとか書いてあったからあんまり面白くないかなって思ってたんですけど
めちゃくちゃ良かった
あらすじではあまり話の中心として書かれないだろう未名子の仕事と資料の保存と宮古馬との関わり合いがとても面白かった
まず1番好きなところとして
クイズを出す仕事を未名子がしているってところで
しかも部屋に1人で勤める形で状況のわからない人たちに対して3単語からなるクイズを出す仕事っていうのが
心をくすぐり散らかす
それが物語の展開としてもすごくお洒落な方向に進むからもう粋の塊
この本で書かれていることは大きく3つあって
まず
1.記録の保存について
紙媒体で保管されていた順さんの資料を電子媒体で保管するところから始まって
その電子媒体に集まったデータを保管しようとする場所にこだわりがあったり
宮古馬にカメラをつけたりすることで
主人公が記録していく様が
その理由とともに描かれてて
とても共感できる
今いること、昔起きたことの記録ってこれから廃れていくのは確実だけどそれが一種の神秘を生み出しているようなら感覚はわかるなぁって
次に
2.秘密への恐怖と気味の悪さについて
未名子はいろんなところで気味が悪く思われてしまうところがあって
主人公目線で見ると何も変なことはないけど周りから見たら変わっているっていうのは確かにそうで
自分みたいな口数少ない人は怖がられるよなって
こんなに良い人なのにねって自分では思っててもなぁ
伝わらないよなぁって
最後に
3.孤独であることについて
クイズの出題者も解答者もそれぞれ他の人との距離感みたいなのがそれぞれ遠い場所にいて、
もっというと庭に来た宮古馬も一匹で迷い込んできたから孤独なら存在とすると
この本の中のほとんどの存在が孤独な境遇にいるんですけど
そこから感じ取れるものが哀愁とかよりも遥かに力強さとかが多い気がして
孤独であるというよりは孤高であるような人物たちがとても魅力で好きですね
なんか首里の馬っていうタイトルから田舎っぽい感じであんまりかなって思ったのに最近読んだなかでは結構ワクワクして読めましたね
逆タイトル詐欺だー