活字中毒者の禁断症状

引きこもりが読書感想文を提出するブログ

【読書感想文】植物少女 / 朝比奈秋

三島由紀夫賞受賞作

 

あらすじ

生まれた時から母親が植物状態になっており、みおは母親の病室に足繁く通う。小学生になるとあっ君という同世代の植物状態の患者が同じ病室に来て、母親のみぃさんと交流を深めるようになり

高校生になると、部活で他の部員に目をつけられたり、父親が他の女性と会うようになったりしても愚痴を言う相手として母親と接し、

すっかり大人になり、自身にも子どもが生まれると、やがて植物状態の母親は末期癌となり…という話

 

朝比奈秋さんの作品は『私の盲端』に続けて読んだのは2作目なんですけど

面白さが跳ね上がっててびっくりした

正直前作だと感情が読み取れない描写が多くて感情移入できないところがあったんですけど

今作は読みやすくなってたし主人公の感情がわかりやすくて楽しめた

三島賞受賞納得だったな

 

では具体的によかったところを3つほど紹介

1つ目は、植物状態となった人の生き方

植物状態だともちろん言語でのコミュニケーションはできなくて表情も変わらないけど

一人の人間であることには変わりはなくて

父が親戚に怒るところとかみおの関わり方を通して母親という人間がちゃんと生きていることを強く感じたな

植物状態という状態がどういう状態かあまり知らなかったんですけど反射は起こすことができて

手を開くことができなくなるということを知らなかったので興味深かったな

 

2つ目は、母と娘の関係性の変化

植物状態の母に対するみおの接し方が小学生、高校生、大人になった後で変わっていく様子が変わっていくのが植物状態が関係ないように感じられて良かったな

特に高校生の時に愚痴を聞いてもらう相手として心を開いているのに無理やりものを食べさせようとして苛立ちをぶつけているのがまさに思春期の親子みたいで良い

言語で意思疎通ができないからこそ良いこともあるという部分も一貫して描かれているのが良かったな

 

3つ目は、物語の書き方

これは話の内容自体に関係ないんですけど

今回の話って筆者の意図してない場面が入り込んでくる感覚があるんですよね

みお自身が自分の感情を捉えられていないような場面というか

筆者が書いているというより物語が勝手に進んだ結果入ってきた場面みたいなものを感じる

こういう誠実さを感じる物語って好きだな

っていう話ですね

 

朝比奈秋さんの作品全部読んでいきたいな