子どもが主人公の短編集
特に好きだった3つの話のあらすじを紹介
『逆ソクラテス』
久留米先生はクラスメイトの草壁をダメな子どもだと思って、褒めることはない。クラスの中心人物の土田も草壁を馬鹿にしている。
そこで安齋や僕は、草壁にテストで高い点を取らせたり、美術館の絵を盗んで草壁の宿題と入れ替えたりする計画を立てて…という話
『スロウではない』
運動会のリレーのチームは渋谷亜矢を中心としたクラスでも足の速いAチームとくじ引きで決まった僕と村田花という足の遅いメンバーがいる Bチームに分かれた。 Bチームは少しでもタイムを縮めることができるように練習をする。転入生の高城さんは足が遅いが、 Bチームの練習をサポートしてくれて…という話
『非オプティマス』
いつも同じ服を着ている福生と僕のクラスの担任の久保先生は怒らない。だからクラスのみんなにナメられている。ある日ゲームセンターで警察に怒られた福生と僕を久保先生がフォローするところを目撃した久保先生の大学の友人から久保先生の過去の話を聞いて…という話
伊坂幸太郎さんくらい色んな人に読まれてる作家さんが本屋大賞にノミネートされることって多くはなくて
だからこそノミネート作はすごく良いですね
読んでて全部爽快感を味わえる話で
これだから伊坂幸太郎さんの作品はやめれないよなって思う
では具体的に心に残ったところを2つほど紹介
まず1つ目は
『スロウではない』の高城さんの過去の話
転入生の高城さんは前の学校をいじめが原因でやめてしまっていて
身体能力は高くないけど必死に頑張ってる人物として描かれるんですけど
そこからのどんでん返しがめちゃくちゃ伊坂幸太郎さんっぽくてよかった
人の正義感とか寛容さっていうのが及ぶ範囲についての問題提起をしているようなメッセージ性を感じて
読者に対して1番有効な方法で考えを投げ掛けている気がする
さすがとしか言えんわ
2つ目は
『非オプティマス』の久保先生の人生
この短編集で少しだけある不穏な空気感がこの話の中であって
それが久保先生が潤くんのお父さんと向かい合う時に紙袋から何かを取り出そうとしている
っていうところで
久保先生という暖かい人間が抱えている苦しさや寂しさを逼迫して感じさせられて
辛い過去と向き合うことの大変さを感じるし
潤くんのお父さんとの触れ合いによって久保先生が成長する様子の瑞々しさも感じた
人の綺麗な部分だけじゃなくて
人間味の溢れる部分もちゃんと書くのが伊坂幸太郎さんの良さだよなって改めて思いますね
ここ最近読んだ小説のなかで1番わかりやすく爽快感を得られましたね
たまには暗い話だけじゃなくてこういう小説読むのも大事だ